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親の逡巡と決意 その2

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私の周りだけかもしれませんが、中学受験についていろいろ調べていた頃、職場の同僚でお子さんが中学受験をされた方や、これから受験に臨む方などに、「どういう経緯で中学受験を決めたか」聞く機会がありました。
その際、「子供が『受験したい』と言うので~」という回答が多く、実際に何年生くらいからどのような勉強をしていたのかまでは聞きませんでしたが、「今時の子供は小学生のうちから自分の進路とか意識してるものなんだなぁ」と、感心したものでした。
その頃(今でもですが)のチリ太郎は、人に語れるような将来の夢もまだなく、近い将来にすら「こうしたい」という目標も持てないような状態でしたので、チリ太郎が自分の進路について、「こうしたい」と思う頃には、時すでに遅しとなってしまうかもなんて考えておりました。

話は少し変わりまして、我が家では妻が新聞をとっております(私は恥ずかしながら読んでおりません。ネットニュースオンリーです。)。チリ太郎4年生の春、1枚の折込チラシが妻の目に留まったのか、他のチラシから1枚だけのけられていました。
そのチラシを目にした私も、少し気になってチラシを手に取りました。「全国小学生テスト(無料)」(へー、1学年数万人単位の受験者がいる校外テストが無料なんだ。)
すっかり気になってしまい、ネットでさらに詳しく調べ、妻とチリ太郎に話してみました。

「チリ太郎、これ受けてみる? 小学4年生だけでも3万人近い人数が受験して、その中で順位がつくんだって。」
「受けてみようかな。」
「お、おぉ、じゃあ手続きしておくよ。(えっ、そんなあっさり? もうちょっとこのテストの有用性をプレゼンしきゃいけないと思ってたけど…。)」

ということで、チリ太郎は4年生の6月に四谷大塚の全国小学生テストを受験することになりました。
しかし、受験会場は四谷大塚の各校か、小学生テストに提携している進学塾であり、我々家族は本格的な進学塾というものに行ったことがありません。
私の中での進学塾、特に中学受験生を指導するような塾は、ハチマキを巻いて、お正月とかに「ぜぇっっったぃにごぅかくするぞーーー!!!」なんて叫んでるイメージしかありません。

そんな感じで、親も未知の世界に変な妄想を膨らませながら、「ちょっとさ、大きい塾だとなんかすごそうだし、チリ太郎もビックリするだろうからさ、近場のこじんまりした塾にしておこうよ」ってことで、一駅先の小さめの進学塾を受験会場に選びました。はい、完全に気持ちで押されてますね。

これがチリ太郎にとって初めての全国模試となったわけですが、この時の様子や成績などは、また別の機会に詳しく振り返りたいと思います。

それで、全国小学生テストを受験しますと、当然、結果が返ってくるわけですが、結果とともに受験会場となった塾でカウンセリングなども実施してくれるわけです。まあ、広い視点では学習塾業界に利益として還元されるとは理解しつつも、「無料でお話が聞けるなんて、せっかくだから聞いてみよう」ということで、そのこじんまりとした塾でお話を聞くことにしました。

カウンセリングを担当してくれた先生は、髪がボサボサでしゃべり方の癖も強い、何と言いますか、私の思う進学塾の先生(=通常の会社などでは浮いてしまいそうな人々)を体現されたような方でした。
カウンセリングの様子ですが、このときのチリ太郎の成績はまあまあ良いものでしたので、先生もチリ太郎を褒めるばかりで、私や妻が想像していた、今後の学習方針やら、入塾・夏期講習の勧誘もそこそこに、なんとなく話題を欠くような雰囲気でした。

それで、私は前々から疑問に思っていた中学受験に関する素朴な質問をこの先生にぶつけてみたのです。

「あのー、一般的なお話として、進学塾に通って中学受験を目指されているようなお子さんは、どういう経緯で入塾しているんでしょうか? 小学4年生くらいから受験勉強を始めるそうですが、そんな時期のお子さんが『この学校に行きたい』とか、『勉強したい』って思うものなのでしょうか?」

その先生は言葉を選ぶこともなく、即座に答えました。
「まあ、ほぼ親の教育方針ですね。あと、周りに乗せられて変な感じにスイッチが入っちゃってる子もいます。」

お世辞にも話し上手ではなかった先生も、この時は即座に、そしてキッパリと回答されたのが印象的でした。そして、その回答に自分も納得させられました。

「そうか、やっぱり親の教育方針、考え方があっての中学受験なんだ。もしかしたら、本人のやる気よりも先にそちらがあるのかもしれない。」

この日以降、まずは自分の気持ちを固めることが重要であることを自覚したのでした。
(つづく)

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