駒場東邦2022年入試の考察を続けたいと思います。
駒場東邦のHPで公表された2022年入試統計を再掲します。
＜2022年＞
国語（120点） 受験者平均：78.3、合格者平均：83.8
社会（80点） 受験者平均：46.6、合格者平均：50.1
算数（120点） 受験者平均：35.5、合格者平均：42.6
理科（80点） 受験者平均：54.7、合格者平均：58.5
総合（400点） 受験者平均215.1、合格者平均：235.0、合格者最低点：215
そして、
2022年以前のデータ平均（以下）と比較してみましょう。
＜2013年～2021年（前9年）の平均データ＞
国語（120点） 受験者平均：64.6（最高75.8、最低57.3）、合格者平均：70.4（最高81.5、最低61.8）
社会（80点） 受験者平均：48.6（最高51.8、最低41.4）、合格者平均：52.5（最高55.2、最低45.9）
算数（120点） 受験者平均：73.2（最高88.4、 最低58.3）、合格者平均：84.6（最高98.6、最低72.6）
理科（80点） 受験者平均：49.9（最高57.1、最低39.3）、合格者平均：54.0（最高61.5、最低42.4）
総合（400点） 受験者平均：236.4（最高249.1、最低222.6）、合格者平均：261.5（最高273.2、最低246.8）、合格者最低点240.6（最高253、最低226）
こうして見ますと、
国語は過去10年で最も簡単であった。
理科も過去10年で3番目に簡単であった。
社会は過去平均より少し下だが、平年並みであった。
算数は過去最低を20点以上下回る難しさだった。
受験者平均、合格者平均、合格者最低点ともに、過去10年では最も低い点であった。
ということになります。
一般に、テストは簡単すぎたり難しすぎたりすると受検者間の差が小さくなります。
今回、極端に難しかった算数の全体平均と合格者平均の差は7.1点です。
過去の駒場東邦の入試統計を見てもわかる通り、算数は受験者平均と合格者平均の差が10点以上つく年がほとんどでしたので、今年の駒東入試では算数で差がつきにくかったと言えます。
チリ太郎はこの難しい展開の中、算数で80点以上（推測）の点数を取れたようですが、このように突き抜けてしまえば他の教科はそれなりでも悠々合格できることになります。
例えば、チリ太郎が算数で80点を取ったとすると、残りの教科は
国語：50点、社会：40点、理科：50点でも合計220点であり、合格者最低点（215点）を超えます。
チリ太郎の算数以外の出来はよくわかりませんが、実質的には算数で勝負を決めたのかもしれません。
また、チリ太郎とは逆に「算数で点を取れないパターン」でも合格できます。
例えば、仮に算数：10点でも
国語：85点、社会60点、理科60点で合計215点になりますので合格できます。
今年の難易度であれば、算数以外で上記の点を取るのはそんなに現実離れしていません。
120点満点の教科で10点を取っても挽回できる入試ってすごいですよね。
私は算数が苦手な人間なので、今回の結果を見て思いました。
多分、本質的には算数が苦手で、一生懸命パターン学習などで算数の得点を維持していた人は、今回の算数でやられてしまった可能性が高いのではないでしょうか。
そういう意味では、入試って残酷だと思います。
しかし、先にも書きましたように、今回のテストは1教科で実力が発揮できなくても挽回するチャンスはありました。
また、今回、算数や国語で差がつかなかった分、理・社の出来が合否を左右したケースだってあったはずで、特定の教科を軽視せずに準備した人はその点で合格圏まで行けたかもしれません。
そうしたことを考えると、トータルでは平等なのかもしれませんね…。
言うは易しだとわかってはいますが、
自分の強みをしっかり磨くことって重要だと思います。
今回のテストは、算数で差がつきにくい展開でしたので、本来ならチリ太郎にとって不利な展開だったはずですが、むしろ逆境をぶち破るような力強さを見せてくれました。
そうなるように導いたわけではありませんが、結局、子供は好きなことには自ら取り組みますので、それを認めて、しっかりと時間を与えてあげた結果なのかなと思います。
（もちろん、苦手を避けないよう、抜かりなく指導する必要はありますが）
2022年駒東入試の振り返りとチリ太郎とした後、こんな会話をしました。
青：「チリ太郎、この年の入試のこと、しっかり覚えておいた方がいいよ。」
チ：「そう？」
青：「だってさ、チリ太郎もいつか先輩になるじゃん。」
チ：「うん。」
青：「そのときにさ、『俺たちのときの算数、激ムズだったんだよー』と言いつつ、『どんな問題だったかは覚えてないけど』ってなったら格好悪いじゃん。」
チ：「ああ、そうかもね。」
青：「スラスラスラーって2022年入試問題をそらんじるぐらいだと、『あっ、そう言いつつこの人は解けたんだろうな』って尊敬されそうじゃん。」
チ：「そうだね。」