チリ太郎の中学受験において、学校内施設で試験待ちをしたのは駒場東邦だけです。
従い、他の学校との比較はできないのですが、駒場東邦では8時半の試験開始時に校内放送で鐘が鳴り、以降、各教科の試験終了と試験開始時間に同様に鐘が鳴りました。
保護者からすると、鐘の音を合図に子供の置かれている状況がわかるので、
「おっ、算数が終わったか。予定どおり栄養補給してるかな…。」とか、想像しやすくてありがたかったですね。(親の心の声など、受験生には何の足しにもなりませんが…。)
駒場東邦の校内待機場所は3ヵ所(講堂、食堂付近、体育館)あるのですが、私は体育館で待機していました。
講堂は固定座席を間隔を空けて使用しており、席はかなり埋まっていましたが、体育館は席にかなり空きがある状況でした。
体育館には常設の暖房設備が無いようでしたが、巨大な業務用ヒーター3台が稼働しており、寒いということはありませんでしたので、私にとっては人が大勢いる講堂より体育館の方が居心地がよかったです。
試験は定時(12:35)に終了しました。
駒場東邦の試験時間は国算60分、理社40分で関東圏では2番目に長い試験時間。
これより長いのは麻布だけです。(理社が50分)
受験者の退出は受験番号の若い順に「最大20分の時間差を設ける可能性がある」旨、事前案内されていました。
チリ太郎の受験番号はかなり後ろの方であったため、550人程度の受験者ではあるものの、出てくるまでそれなりに時間がかかりました。(他の子供たちの様子を眺めていたので、待たされたという印象はありませんが…。)
チリ太郎は外出するときにいつも帽子を被っているので、受験生の行列の中で見つけるのはたやすいと思っていました。
しかし、私の想像を超えてヘンテコな歩き方をしながら出てきたため、「見つけやすい」というより変な目立ち方をしていました。
人間は普通に歩くとき膝はあまり曲がらないのですが、その時、チリ太郎は膝を曲げ伸ばししながら歩いていたので、「ピョコタン、ピョコタン」という具合に頭が上下して、周囲から見ると、
「足でも怪我したのだろうか?」、「具合でも悪いのだろうか?」
と見られるような歩き方でした。
ですので私の第一声は、
青:「どうした? 具合でも悪いの、変な歩き方してるけど?」
になってしまいました。
言葉には出しませんでしたが、試験の出来が悪くて挙動がおかしくなっているのかとも思いました。
対してチリ太郎は…、
チ:「えっ、そう? そんな変な歩き方してたかなぁ…。」
といつものとぼけた調子でした。
私は当人への声掛けについて、事前にいろいろ考えていたのですが、結局、
青:「試験の出来はどうだった?」
と聞くことにしました。
出来栄えを聞くのは良くないという意見もあるのですが、私なりにいろいろ考えてのことです。(親が知りたいというより、本人に再確認させるために聞きました)
チ:「うーん、普通かなぁ…。」
青:「難しかったとか、この教科が簡単だったとか、そういうのは感じなかった?」
チ:「うーん、特には…。そういえば、国語は最後の問題が書けました。」
青:「そりゃすごいね。模試も含めて1度も書けたことなかったのに、最後に達成できるなんて。」
チ:「その代わり、途中の70文字の記述が1問書けませんでした。」
青:「まあ、配点は最後の方が高いだろうから、最後が出来た方が断然良いよね。」
チ:「うん。今回は書きやすい問題だったかも。」
青:「何か、傾向の変化とか、そういうのはあった?」
チ:「そういえば…、理科で2問ぐらい、回答欄に単位が入っていない問題があったなぁ…。」
青:「そう。それは引っ掛け的なやつかね? 算数の作図問題とかはあった?」
チ:「うん、普通にあったよ。今回の作図のポイントはね…」
とチリ太郎が問題文無しに算数の説明を始めてしまったので、以降、私の方は生返事に終始しましたが、駅までの道中はそんな話を続けました。
チリ太郎は最大目標の試験を終えた解放感からか、よく喋っていた気がします。
その内容から、試験問題を冷静にしっかり読めていたことが伝わってきましたので、私は
「余程の誤算、読み違いがない限り大丈夫かな」
という手応えを得ました。