いつも野球の話ですが、本日は違います。
サッカーの話…(おいっ!)
1つ前の記事で「プロ野球選手は育成面から見ても非常に過酷な世界だ」「時に、それが理不尽なまでに厳しすぎると感じる」というような記事を書きました。
それで、そんなことを書いてみたらサッカーについても触れたくなった次第です。
まあ、私は少年野球にもやっていたのですが、スポーツとしてのキャリアはサッカーの方が圧倒的に長いのです。
それで、プロ野球などについて語るときには、(見る専門の)「野球ファン」としての視点を心がけていますが、サッカーについては少し長くやっていましたし、プロに入るようなレベルの選手と会話をしたこともあるので、(少しだけ)「経験者」としての視点があると思っています。
サッカーと野球は日本において人気を二分するプロスポーツと言ってよいと思いますが、サッカーは後発の分、興行としてのプロ野球も参考にしつつ、欧州型のプロリーグという理想を見事に定着させたなと思っています。
プロ野球は12球団で独占的な興行であり(独立リーグもありますが)、プロスポーツとしてそこを強みにしています。
対してサッカーは地域クラブから始めてJ1まで上り詰めることも可能なオープン型ですから、裾野は広いです。そこは野球と真逆ですね。そして、サッカーは裾野が広い分、選手の立場では実力に見合った活躍の場を得ることができると思います。(格差もそこそこあると思いますが)
私、1991年にJリーグが発足したとき、
「これからは将来的にプロを目指す人材はクラブに流れ、特に大学サッカーなどは完全にアマチュア化するだろう」
と思っていました。
サッカーは野球に比べて選手寿命が短かったですし、プロに行きたい人は10代後半から20代前半の重要な時期は可能な限りレベルの高い場所に行くことになると思ったのです。(むしろ、それぐらいの年齢でプロデビューしていないと遅いと思っていました)
しかし、この私の予想は半分も当たっていなかったと思います。
確かに、Jクラブのユースなどから優秀な人材はバンバン出ているのですが、一方で、大学サッカーを経由してプロで活躍する選手も一定数います。
(非常にわかりやすい例で言えば、三苫選手とかね)
今振り返ってみて、私の考えが浅はかだったと思うのは、
「サッカーみたいに10代でプロデビューできるようなスポーツは、なるべく早期にレベルの高い場所に身を置いて、サッカーだけに集中するのがプロへの近道だ」
と思い込んでいた点です。
自己弁護するなら、そのように「英才教育こそトップへの近道」と思っている人は多いと思います。
例えば、「幼少の頃は様々なスポーツに触れさせるべき」という考え方は、日本でも割と一般的な考え方として浸透してきていると思いますが、我が子を「将来特定のスポーツのトップ選手にしたい」と思っている親御さんほど、意外とこれを信じ切れなかったりします。
同年代でその競技に秀でたお子さんがいたりすると、ついつい比べてしまい、「今抜きんでたい」「吸収力のある若い頃にこそ特定競技の基礎技術を叩き込みたい」という思いに駆られたりするのでしょう。
しかし、人の成長というのは本当に不思議なもので、やっぱりその子が「成長する期間」というのがあり、その時その時で「最適な環境」を選択することが、将来的にその子の「最高到達点」を引き上げることにつながるのですよね。
少し話を戻しますが、私はもしかしたら、「三浦知良選手の成功の軌跡」に影響を受けすぎたのかもしれませんね。
(キングカズこと三浦知良選手は、高校を中退して単身ブラジルに渡り、ブラジルでプロ選手としてデビューしました。J発足前の話です。)
現在の環境であれば、
三浦選手のような成功例、成長過程もあったり
三苫選手のような成功例、成長過程もあったり
中澤佑二選手のような成功例、成長過程もあったり
いろんな選手の成長過程を見ると、生まれながらの天才と思われるような選手でも、小学生からずっと世代別日本代表というような選手はいません。
結構、挫折したり、停滞したりしつつ、私たちが目にするようなピークとなる活躍に至っているのですね。
そういう意味では、先に述べた「成長する期間」と「最適な環境」を頭に入れつつ、「停滞するであろう期間」、「人生の中での息抜き的な期間」を盛り込むぐらいの余裕を持った方がよいかもしれません。
むしろ、そちらの方がリアリティがあるのですよね、実際の選手たちを見ると。
スポーツって、結果、パフォーマンスが外に表れますし、それを追うことで成長の軌跡を見ることができます。
そして、人間の成長という面では共通しているので、そうした例は勉強や趣味、何にだって置き換えられる話かと思っています。