前回の記事の続きというか、補足です。
早稲アカについて以前からどこかで触れておこうと思っていたのですが、この機会にと思いましたので記事にします。
2024年中学受験においてはサピックスの実績にやや陰りが見え、早稲アカが躍進しました。
以前から耳にすることですが、早稲アカが実績を伸ばすと特に、
「早稲アカはNNで他塾の優秀層を勧誘して実績に加えている」
という意見が聞こえてきます。
これは私個人の感想と想像であり、何か証拠があるわけではないのですが、
「その見方には誤解もあるのでは?」
と思っています。
塾業界も歴史がありますので、過去にどうであったかは知りません。
まあ、合格者実績の出し方のルールがはっきりしていない時代においては、もしかしたらそういうこともあったかもしれません。
また、結果的にそう見られてしまうようなこともあったかもしれません。
ただ、私がチリ太郎の受験の時にお世話になったNNの雰囲気からすると、少なくとも今の早稲アカ、今のNNを評価しようと思ったとき、
前述のような見方は「NNの実態を正確に捉えていない」というふうに思います。
どういうところに誤解があるのかを述べていきたいと思います。
〇塾の指導体制の違い
先の記事でも触れましたが、早稲アカは本科と志望校対策(NN)が分離しています。
多くの塾は所属校で全ての面倒を見るスタイルで、志望校対策のみを分割して受講することはできません。(本科生として満額の月謝を払えば受講できるかもしれませんが)
そして、NNは受講資格を他塾生にも開いているため、一定数(1/4とか1/5とか?!)は外部生が在席しています。この実態を見ると「引き抜いている」というふうに見えますが、これは営業スタイルの違いからくるものです。
早稲アカのみが分離スタイルをとっているため、生徒の流れが1方向になってしまっているだけで、他塾が同じスタイルなら、それぞれ魅力を感じたサービスを自由に選択する双方向の流れとなるはずです。
〇別メニューでの受講、そっくりテスト受験
ただ、上記の説明では十分ではありません。
NNがいくら他塾生に門戸を開いているとはいえ、他塾も6年後期になると土日の特講が標準のスケジュールとなりますので、ダブル受講といっても土日のスケジュールは被るはずです。
NNは外部生のスケジュールが調整しやすいオプションを設けていたり、そっくりテストの受講を複数日程で受けられるようにしたりしています。
この点をもって、「他塾生徒を『とりあえずキープ』しながら実績にカウントしている」と指摘する方もいらっしゃると思います。
ただ、外部生の皆さんも何らかの魅力があって、単体科目の受講やそっくりテストの受験をしています。
自身がNNオープンテストを受験して資格を得て、それによって「選択の幅」が広がった中で、「やってみたい」と感じたものを選択したに過ぎません。
他塾からしたら、「日頃の面倒は見ていないのにNN生扱いされるのは悔しい」という気持ちがあるかもしれません。ただ、あくまで選択権は受験生本人にあります。
権利は得ても受講しなければ、早稲アカの実績にはカウントされません。部分的であれ、他塾より魅力的なサービスを提供して、それが選ばれた結果なのかなと思っています。
〇NNのマインド
それでも異議を唱える人がいると思います。
「確かに本人の選択かもしれないが、志望校対策の不安に付け込んで勧誘している」
という意見を目にしたことがあります。
私はここが一番大きく誤解されているところだと思っています。
そもそも、外部生であったチリ太郎がNNオープン模試で権利を得たとき、私は「勧誘されるのかな」と身構えていましたが、先生とのやり取りではそんな様子は全くありませんでした。(少し拍子抜けしたぐらいです)
NNのマインドを表すエピソードと言えば、
チリ太郎が通塾している授業等で、あるいは説明会の度に何度も耳にしましたが、NNの先生はことあるごとに、
「我々をうまく使ってください」
というふうにおっしゃっていました。
そして、信じていただけるかわかりませんが、チリ太郎はNN外部生であったところ、NNクラスの中では「外部生だから」という理由で対応が変わることは1度もありませんでした。
私は、以下のように感じました。
「ああ、NNの先生方って、『生徒の所属がどこか』とか全然関係なく、ただ、『この学校に入りたい』って熱望している家庭に対して、完全に分け隔てなく力になろうとしているんだな」
美化しすぎだろうと思われるかもしれませんが、本当です。
NNの先生方って、志望校対策の熱が強すぎて、本当に損得関係なくなっちゃっている人が多いと思います。
NNの合格体験記には外部生も執筆依頼が来るのですが、そこに外部生の父親から、
「このサービスがこんな安い受講料で受けられるなんてお得すぎます。絶対に使わなきゃ損」みたいなことを書かれても、そのまま掲載・配布しちゃうんです。
NNの先生も、受講者の声として読み上げながら、メチャメチャ苦笑いしていましたけどね。(笑)
でも、例えそのように「外部生にお得に使われた(いいとこどりされた)」としても、「力になれたなら何よりです」っていう先生方ばかりです。
私が知っている先生方は皆そういうマインドでした。
ですので、「有力層の不安に付け込む」なんて打算はなくて、
ただ「超ウェルカム、オープンマインドな人たち」なのだと思っています。
すごく長くなってしまって恐縮です。
中学受験は平均して3年程度の時間はかけて受験勉強をしますし、1箇所の塾でお世話になることが多いです。そういう中で、塾に対する「帰属意識」みたいなものが芽生えるのも無理からぬところです。
ただ、塾に所属している意識が強ければ強いほど、他の所属(他塾)のことが気になって仕方がなくなります。
私は塾は「所属するところ」ではなく「使うところ」なんだという意識がもう少しあってもよいかなと思います。
そういう意識を持つと、どこどこの塾のやり方がズルいとか、そういう感想って少なくなると思います。
まあ、チリ太郎の受験は、どこかの塾に所属しているようで、結局どこにも本籍がなかったような受験でした。
そんな我が家だから思うことなのかもしれませんけどね。