受験はよくマラソンに例えられることがありますが、イメージを膨らませると少し面白みがでてきます。
受験マラソンを走るのは子供たちですが、親も沿道から応援しながら走ります(通過を見送るだけの人もいますが)。そして、このマラソンには正確無比なペースメーカーとして、進学塾の存在があります。
このペースメーカーは、塾生たる子供を従えて正確なスピードで走りますが、原則として、上位入選ペースで走りますので、塾生は個々の目標タイムと照らして、ついていくべきか、敢えてペースを落とすか、判断しなければならないでしょう。
ペースメーカー以下の塾生の隊列は、縦長になりがちです。そして、皆、ペースメーカーや他の塾生のペースを見ながら、抜きつ抜かれつといった局地的な位置取り争いをします。
実際のマラソンでもそうですが、道中、多少の無理をしても、先頭集団に食らいついていった方が、最終的な記録は良いものになることが多いです。
一方で、一番気を付けなければいけないのは、オーバーペースによる失速・棄権。そして、過度な位置取り争いによる体力の消耗です。道中のペースは、あくまで、「自己の最終記録が向上するために」判断されなくてはなりません。
私とチリ太郎はこのマラソンにどのように参加している立場か。
私の認識としては、各参加者からあまり離されない程度に追走しているイメージです。
もちろん、塾のペースメーカーやそれを追走する子供たちの姿は、私からは随時確認することができませんので、外部模試などを受けて、離されず追走できているか、時々確認する必要があります。
チリ太郎が、「受験マラソンに正式に参加したい」と言ったときに、スタート付近から追いかけるのか、及ばずながらも追走したところから追いかけるのかは、道中のペースに大きな違いが出ます。
しかし、チリ太郎本人には、まだマラソンのゴールや、それに参加している子供たちの姿は見えていないので、「絶対に無理しないペースで走らせる」ことが必須の条件です。
マラソンに参加する前から、「マラソンって辛いな。大変だな。」と思わせるようでは、参加表明にすら至りません。
さて、まだまだ先に話になりますが、受験マラソンでは、どの地点でスパートするものでしょうか?
私は。3ヶ月前くらいかなと思っております。6年生の11月に入ってからですね。
遅すぎるでしょうか? でも、その頃になれば、誰でもゴールが近いことを感じます。
そもそも、塾や親が「ゴールが近いぞ、スパート!」と号令を発したとして、それに即座に呼応できるような子供なら、あまり心配ないのです。早めにスパートしたってよいでしょう。
しかし、大概の子供は、自分なりにゴールが近いことを察知して、自分でスイッチを入れるんだと思います。所謂、尻に火が付くというやつですね。
そう、結局、その状態になってからが勝負なのだと思います。
では、そこまで走ってきたのは何だったのか?
もちろん、全く無駄なんてことはありません。
確かにしかるべき距離を走っているはずです。
しかし、その期間に重要なのは、実は走った距離やその時点での順位じゃないのではないかと思います。
私は、6年生の10月くらいまでは、ラストスパートに備えて、しっかりとしたフォームや息の入れ方を学びながら走ることが重要なのではないかと思います。
もちろん、世間の常識からすれば悠長過ぎると言われるかもしれません。
でも、何となく思うんです。
やっぱり、子供たちが中学受験を自分事だと自覚して、いよいよやらなければならないと思ってからが勝負なのではないかと。
そして、子供がスパートできる期間は、せいぜい3ヶ月くらいしかなくて、結局、その期間にしっかりとしたフォームで加速できる子が勝負に勝つのではないかと。
まあ、妄想の上に仮説を重ねるような取るに足らない話ですが、私は上記のようなイメージでチリ太郎と走っています。