「議論百出とはこのことだね」
と最近思ったのは「埼玉県の県立別学高校の共学化議論」です。
議論百出ですが、まともな結論が出る気がしない点がとても心配です。
埼玉県には男女12校の公立別学校がありますが、全国の公立高校で共学化が進む中、今となっては珍しい方に分類されます。
ことの発端は、市民からの苦情申し立てを受けた埼玉県の男女共同参画苦情処理委員が、県教育委員会に「県立高校の共学化が早期に実現されるべきである」と勧告したことに始まります。
これが昨年の8月頃の話で、まあ、この問題を1年程度議論しているのです。(勧告を受けた教育委員会が行っているのは主にアンケート調査であり、討論がしきりに交わされるのは主にネットの掲示板だと認識しています)
こういうニュースネタがあると、私は賛成派、反対派で脳内ディベートをします。
本件の結論は…
青:「この議論、疲れるね。その割に結論が出ても大して喜ばれない気がするなぁ」
です。
ネット掲示板の意見を見てもわかるのですが、こうした問題には様々な論点があり、1つ1つの意見には感心し納得できるものも多いのですが、なかなか結論に繋がらないのですね。
少し厳しい言い方をすれば、「理念的なこと」「教育効果」みたいな部分では、根拠が怪しい意見も多い印象があります。
例えば
・共学は社会性が育まれる
・別学は勉学に集中できて教育効果が高い
・同性の中でのびのびとした学校生活が送れる
など、それぞれのメリットを述べる意見については、
「それってあなたの感想ですよね」
と言われてしまいそうなものが多いです。
一方で、
・共学化に必要な施設整備費は○○円
・少子化を想定した県内高校入学者数のシミュレーションは
といった要素はある程度根拠のある試算が可能だと思います。
世の中、かみ合わない議論ほど疲れるものはありませんが、さて、埼玉県教育委員会はまともな結論を出せるのでしょうか…。
私は一人息子のチリ太郎を私立男子校に通わせているわけですが、実のところ、別学共学問題については中立的というか、
「まあ、そこまで拘らなくてもいいんじゃない?」
と思っています。
そういう方も多いのではないですかね。
もちろん、「我が子に合っているかな?」という点は考えるわけですが、親の心配以上に子供は柔軟性を持っているケースが多いと思います。
問題は、当事者そっちのけでイデオロギー的な論争に発展してしまうケースですが、私はその面でも比較的中立です。
世の中の別学校を共学化しようと頑張っている人
別学校の伝統を一生懸命守ろうとしている人
一見、そうした勢力がいるように見えるのですが、こうした議論が白熱していくのは本人の思い入れというよりも、
「ヘンテコな論理で一方的な結論を出されてはたまらない」
という思いが人を加熱させ、それぞれの派に縛り付けている気がするのです。
最後に、先の脳内ディベートとは別に、「私が教育長だったら」という想定もしましたので、それをもって私の結論としたいと思います。
青ティ教育長の結論
「埼玉県にある公立別学校は、その制度をもって誰かの権利を侵害しているとは認められない。また、現時点では、近い将来において重大な権利侵害が発生するとも想定されない。
従い、当面の間、現状を維持する。
しかし、10年以上先の未来を考えたとき、世の中のジェンダーや教育を巡る常識がどのように変容しているかは想像できないため、5~10年程度を目途に自己点検を行い、埼玉県の教育体制を時代のニーズに沿ったものとしていけるよう努めたい。」
積極的な…、先送りです。