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理想と現実の狭間

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かなり前のニュースになりますが、以下のネットニュースに目が留まりました。

突出した才能の子に学習支援 授業中の苦痛や孤立解消―文科省(JIJI.COM)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022060200230&g=soc

上記ネットニュースでは「ギフテッド」という言葉は使っていませんが、朝日新聞オンラインなどでは明確に「ギフテッド支援」みたいな見出しにしていたと思います。
記事が出た時期などを考慮すると、文科省がギフテッド教育を来年度の予算要求に盛り込むという話でしょうから、まだやるとも決まっていない話です。

ただ、その程度のどうなるかもわからない話ではあるものの、ニュースのネタとしては悪くありません。
教育に問題意識を持つ人ほど、このニュースには反応したことと思いますし、日本の教育のそもそも論、方針転換にまでコメントで言及している方がいらっしゃいました。
これは、そういう課題意識を刺激する記事なのですね。

私が感じたのは

こういう観点を少し変えたものでないと予算要求のタマにすらならない状況

です。

現場の意見、ニーズなどを聞けば、
・教員の人数を増やしてほしい
(教員の数にゆとりを持たせ、研修などを充実させてほしい)
・施設や教材にかけられる予算を充実してほしい

というような意見が大半を占めると思います。
しかし、そういう要求内容では全く予算がつかないので、(財務省の担当官に)興味を持ってもらえそうなネタを考えるわけです。

日本のメインとなる政策の中で、教育に重きを置く人にしてみれば非常に歯がゆいことですが、「教員を増やしたら教育内容を充実できます」という正攻法の主張では予算を付けてもらえる可能性はほぼゼロなのですね。

まあ、私は公務員でも財務省の人間でもありませんが、一般人でもそのあたりのやりとりは想像できます。

つまり、

財担:「まあ、教員を増やして教育が充実するっていうのは否定しませんよ。ただ、『予算増額に見合う効果は?』って話ですよね。教員を増やせば固定費となって恒常的に予算がかかる話ですから、なおのことそれに見合う効果が求められます。」

と間違いなく言われます。(そして認められません)

国でも地方公共団体でも予算を取る苦労はよく耳にします。
教員や施設の充実という意見については、知り合いに教員がいれば間違いなく耳にするであろう声なのですが、結局、現場の人が大勢声をあげたとしても、難しいものは難しいのですね。(予算をつける側の論点は費用対効果なので)
そんなこともあり、私個人は「予算を増額することを希望するより、何かを削って今やるべきことに力を注いではどうか?」と考えるようにしています。
そちらの方が少しは現実的です。

さて、ギフテッド教育(支援)の話に戻ります。

このニュースの中でもう1つ感じたのは、

「残念に思う人も多いと思うけど、日本の教育の良さを伸ばす発送の方がよいのでは?」

ということです。

こういうニュースが出るとどうしても先行事例として欧米の取り組みが紹介され、日本の教育の課題などと相まって、

「日本の教育も大転換すべきなのでは」

という意見が出がちです。
そう言いたくなる気持ちはすごくよくわかります。
(私も変化を好む性格ではありますので)

しかし、先に述べましたように、日本の行政というのは予算の縛りも強く、方針転換したり、大きなプロジェクトをぶち上げるのに適した環境とはいえません。
そうした中で着実に成果を伸ばすには、

「方針は大きく変えず、良い部分を伸ばす」

ことに特化した方がよいということですね。(効率も良いし混乱も少ないと思います)

私はチリ太郎を育てた経験から、一人の親としては、

「子供の個性に合った教育、その子のポテンシャルに合った指導、横並びを廃した単位習得型の教育」

というものに魅力は感じます。
ギフテッドとは言わないまでも、能力のある子が学校の授業やクラスメートとの関係に興味を持てず、「浮きこぼれる」という話は、中受界隈ではよく聞く話です。
(チリ太郎の場合は能力があるというよりも、特性ですかね…)

ただ、日本の教育行政という視点で見たときには真逆の意見になります。
日本の教育を評価するとき、「全ての子に等しく一定の学力をつけさせる力」が強みであることを否定する人は少ないでしょう。
明治以降、その方針でそれを強みとしてやってきたのですから、日本人の気質に概ね適っていることでもあると思います。
そういう強みを捨てずに、良い方向に伸ばすような考え方、肯定的に評価するような考え方もあってよいかなと思います。(つまり、平等に均一に教育を行い、結果として能力的に上にいる層へのケアが手薄になることもやむなしとする方針を維持する考え方ですね)

今回の記事のまとめ部分はあまり読者の共感を得られないかもしれませんが、親として望む世の中と、現実的に考えた場合の政策の方向性が異なることってありますよね。
私はそうした狭間で苦しむような立場ではありませんので、のんきに個人の感想を記事を書いているだけですが、行政を担う優秀な公務員の方はいろいろ思い悩むことがあるかもしれないなぁと想像したりします。

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