田舎にある私の母校(高校)が中高一貫校化されるらしいという知らせを耳にしました。
数年前から噂は聞いていて、東京に出てきている同級生ともそのネタで盛り上がったりしていましたが、計画が現実的な段階に入ってからは地元の評判などが気になり、実家の母に状況などを聞いたりしています。
公立中高一貫校が設置される場合、新設というケースは稀で、ほとんどは母体となる高校に中学校を足すというケースになると思います。
東京の中高一貫校も文部科学省主導による中高一貫教育制度の一環として2005年にこのパターンで設立されました。
すでに約20年の歴史がありますので、母体となった高校のイメージというのは次第に薄れ、純粋に都立中高一貫校として認識されていると思います。
田舎の場合はもともと公立指向が強いため、母体となっている学校のイメージを払拭することはかなり難しく、良きにつけ悪しきにつけ、長々と高校のブランドを引きずることになると思います。
私の母校は全国的な知名度は全くありませんが、所謂地域の№1校というやつです。
それで、その学校が中高一貫化されるとなると、地域の人は
「あの学校に入れるなら、ダメ元でも中学から受験するか」という考えになります。
一方で、ある程度学力に自信のあるご家庭は、「いやいや、すぐに高校募集は停止されないし、初期の手探りの段階で無理して入らなくてもよいのではないか」というふうにも考えるようです。
いずれにしても、私立学校があまり充実していない地域では地元トップ校のブランドを中心に進路を考えますので、そういう学校が中高一貫化されるというのは大きな出来事です。
母体となった学校が無名の学校の場合は、どうせ失う評判などは無いとむしろ思い切った改革が期待できるのですが、同学校が中途半端にブランド化されている場合、その中途半端なブランドにしがみつきはしないかと心配になります。
そんな姿勢では、大した教育なんてできやしません。
比較的早期に中高一貫校としての実績(学業が一番ですが、それだけに限りません)を出さないと、これから先の少子化を乗り切っていくことができないでしょう。
「昔は地元で一番の学校だったけど、中高一貫化されてからはイマイチよねぇ」なんて未来もあり得ます。
卒業生である私の気持ちとしては、変わりゆくことへの寂しさを感じる余裕もないぐらい心配です。
もともと「都道府県下屈指の進学校」というわけでもない「ただの地元No1校」です。
中高一貫校化されて、そこで優れた教育を行うことができれば、都道府県下屈指の進学校になることもできる(要するに上がり目がある)わけですから、中途半端なブランドにすがることだけは避け、「攻め」の姿勢一択でいってほしいものです。
というふうに、一応エールは送りますが…
実際のところはどうなのでしょうね?
私は全国の事例は知りませんが、東京や神奈川、埼玉でも、公立トップ校は伝統校が占めていて、中高一貫校がそれを追い越すほどという話は聞きません。
唯一、東京の日比谷高校と都立小石川の比較では、ほぼ同等(あるいは実質超えてる)と評価する方もいらっしゃると思いますが…。
どの都道府県でも、都道府県下No.1の高校は中高一貫化されないでしょう。そういう学校は有力者に守られ、伝統とともにその地位が維持されます。
No.1校より偏差値的に下の学校が中高一貫校され、都道府県下No.1校にのし上がったとしたら、それは本当にミラクルです。
教育というのはなかなか革新的な手法が生れづらい分野ですが、私はそういうミラクルが見てみたいです。
逆に、そういうミラクルがどの都道府県でも起きないのだとすれば、
「中高一貫校化施策の目的ってなんだったのだろう?」
となります。少なくとも私はそう思います。
まあ、全国の公立中高一貫校も、まだ20年程度の歴史しかないわけですし、何かと政策の影響を受けがちな組織ですので、そんなに評価を急ぐべきではないのですけどね。
でも、やっぱり、変えるならば結果を見たい。
結果に期待感を抱かせて欲しい。
そんなことを思います。