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草創期に志あり

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チリ太郎が学校から貰ってきた資料などの中に「駒東の60年史」がありましたので見てみました。

駒場東邦の創立は1957年(昭和57年)ですので、2017年(平成29年)に創立60周年を迎えており、創立60周年記念式典などの報告が学校のHPに掲載されています。

都内の私立学校には100年超の歴史を持つ学校も少なくないため、60年というのは「歴史がある」と自慢できるほどでもありません。
しかし、年史に掲載されている資料などを見ると、草創期からの歩みを新聞や公表されている資料などで振り返っており、また、創立当時からのデータ(例えば体育祭の優勝カラーとか、校内運動競技の記録など)もしっかり残されていて、とても感心しました。

私も仕事で50年程度の年史のようなものを作成するお手伝いをしたことがあるのですが、ちゃんとしたものをつくろうと思うとそんなに簡単な作業ではありません。
そもそも、その会社に創業当時からの資料が途切れずに蓄積されているかという問題がありますし、50年ぐらいならばまだ創業時の職員も存命だったりしますが、そういう方からお話を聞いたりして、そこからまた資料を探したりとなかなか大変。
立派な年史が作成できる組織というのは、しっかりとデータを残す風土があり、それを仕上げるマンパワーを持っているということの裏付けなのかなと思います。

※マンガなどでは年史を制作する部署(資料部とかかな?)などというのは窓際部署の代表格として描かれることが多いと思いますが、要するに、「大変時間がかかる作業」であり、「場合によって情報を追えない可能性がある」作業ですので、暇な人しかできないということなのでしょうね。

駒東の60年史については全てに目を通したわけではありませんが、前述のように様々感心させられることがありました。
その中で1つだけ、「なるほど」と思ったことを記事に残しておきたいと思います。

それは、

「駒東創立の頃は東京も公立校全盛の時代であり、私立学校は現在のような評価を得ていたわけではない」

ということです。

このあたりはよくご存じの方には言うまでもないことですが、東京では1967年から1981年に導入された学校群制度により、多くの都立高校(公立学校)が(進学成績の面で)長期低迷に陥ったと評価されています。そして、そのタイミングで学業の成績を伸ばしてきたのが私立学校なのですね。
つまり、1967年以前は私立学校の評価は高くなく、優秀な生徒が敢えて私立学校に進学する理由が薄かった時代と言うことができると思います。

他県からやってきた私などには想像しにくい話ですが、駒場東邦ができた1957年はそういう時代だったということです。

私が感じたのは、

「そういう時代に敢えて私立学校を創ろうと考えたのは、そこで『こういう教育をしたい』という思いがあったのだろうなぁ」

ということです。

その、『こういう教育をしたい』という志は、当然、「東大合格者数〇人以上」とかそんな話ではないはずですね。
私立学校全体の評価が高くない時代に敢えて学校を創り実現したかった教育。
それこそがその学校の教育理念だと思います。

時代は変わり、多くの私立学校が高い評価を得る現在、「偏差値」とか「東大合格者数」というようなことで学校を比べがちなのですが、本来はそういうものではないのだろうなぁということを感じました。

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