昨日、プロ野球の日本シリーズが終了しました。
福岡ソフトバンクホークスの関係者の皆様、ファンの皆様、おめでとうございます。
それにしても、シーズンの最後を締めるシリーズにしては、非常に盛り上がりに欠けるものとなってしまいました。その原因は、ヤフコメなどでファンの皆さんが指摘されていることが全て当たっていると思います。
ただ、私はそうしたコメントの中には見当たらない2つの感想を持ちました。
1つは、「常勝ホークスの姿に、王貞治さんの挫折からの栄光、人の出会いと運命を強く感じた」ということ。
もう1つは、「興行としてのプロ野球の構造的な欠点」です。
1つ目については、オールドファンの方には説明不要なことかもしれません。
私の中ではっきりと残っている王貞治さんの記憶は、巨人軍の助監督時代からです。
選手としては「世界の王」と言われた不世出の名選手でしたが、巨人の監督としては結果を出せず、ファンからの叩かれぶりもひどいものでした。
その後、ダイエー・ソフトバンクの監督に就任しますが、ここでも巨人時代ほどではありませんが、結構苦労します。(優勝しながら日本シリーズに出場できないことが続いたりしましたね。)
まあ、巨人でもダイエーでも、選手時代の実績からすれば、野球人として明確な「挫折」を味わったといってよいでしょう。
しかし、ソフトバンク監督時代から一貫してチームに係わり(現在、球団取締役会長)、常勝ホークスを作り上げた実績は、正に野球人として「2度目の栄光」を味わったと言ってよいかもしれません。
あの挫折の日々を考えれば、よくあそこで折れずに、コツコツとチーム作りを続けたなと思います。なかなかできることではないと思います。
また、いかに腐らずに努力を続けたとしても、西武やロッテだったらこうなっていたかというと、それは無理だったと思います。
ソフトバンク会長の孫正義さんと出会い、その全面バックアップを受けたからこその2度目の栄光。つまり、人との出会いの重要性ですよね。
逆に、巨人軍の原監督もまた、今回、セリーグでは優勝したものの、大きな挫折を味わった立場です。ここをどう乗り越えて、野球人としてどう生きていくか、人生の岐路になる気がしますね。
そんなふうに、人の人生ではありますが、長期で追い続けていくと、実に興味深く、勉強になります。
無理やり中学受験に関係づけるなら、
「目先の目標に全力で挑みつつ、出た結果を肯定的に乗り越えていこう」
「親は、子供を応援しつつ、10年、20年くらいの視点も忘れないようにしよう」
という教訓が得られますでしょうかね。
さて、2つめの感想は実にシビアなものです。
セ・パの実力差により、ここ数年の日本シリーズが盛り上がらないものになっている現実。
これが誰のせいかと考えたとき、
セ・リーグの驕り(逆にパの努力)だとか、巨人の経営方針だとか、主に球団の努力や経営方針に原因を求める考え方があります。
しかし、私は「NPBの運営とリーダーシップの不足」だと感じます。
プロ野球の場合、サッカーJリーグと異なり、セ・パ12球団による独占的、閉鎖的なリーグとしています。
このように、チーム入替等の無い固定的なリーグにしている場合、対策をとらないと特定の球団の黄金期やリーグ間の実力の強弱など、偏りが生まれるのは必然です。
プロ野球を1つの興行と見た場合、これでは困りますよね。
良くも悪くも、12球団固定でやると決めたなら、その中で均衡が保たれるよう介入しなければいけません。
この点、昔から言われていることですが、プロ野球界はオーナー会議等、球団の力が強く、コミッショナーの力が非常に弱いものとなっており、プロ野球界全体を考えた制度改革や、興行としての面白みを保つための仕組みづくりなどがしにくい構造になっているのです。
各チームのファンの方には反発があるかもしれませんが、私は、サラリーキャップ制の導入等、戦力均衡に資する制度の導入は不可欠だと思いますし、その他にも、放映権の問題、海外戦略(海外の方にNPBの試合を観ていただく)等、やることは山積みです。
私は、最近では、1人の名プレイヤーが現れることよりも、1人の敏腕コミッショナーが現れることを望むようになりました。
無理やり中学受験に関係づけるなら、
世界で活躍するリーダーの育成を目標に掲げる都立中高一貫校の卒業生の中から、そういう人材が現れてくれないかなと。
そういう分野に興味を持つ天才・秀才が現れてくれないかなと思うわけです。