教育施策をめぐるせめぎあい

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本日のニュースによりますと、来年度から5年かけて、公立小学校の1学級の人数の上限を35人まで段階的に引き下げるようですね。

https://mainichi.jp/articles/20201216/k00/00m/010/284000c

現状は40人が一般的かと思いますが、近い将来、35人学級が一般的になるわけです。
このこと自体は、現場の先生にとっても、子供を通わせる親御さんにとっても良い話で、文科省は頑張ったなと思います。

文部科学省は、学級の少人数化について、ずっと実施の機会をうかがってきたはずです。
しかし、急激に学級を少人数化すれば、クラスが増え、先生の増員が必要になり、ものすごい額の人件費増につながります。ですので、財務省は簡単にはOKしてくれません。

「現場の先生にとっても国民にとってもプラスになる施策なのに、OKしないなんて財務省はひどいな」

とお思いかもしれませんが、まあ、予算を管理する庁というのはそういうものです。
ただ、誤解の無いように申し上げれば、財務省はお金を出すこと自体を渋っているのではなく、「説明に合理性の無い支出、効果の見えない支出」を嫌がるのです。

極端に言えば、

文科省:「現場の教員が疲弊しています。教員の人数を増やしてもよいでしょうか?」

財務省:「えっ、現人数で何年も回ってるし、人数増やしても教員の勤務が楽になるだけでしょ?」

文科省:「いえ、教員が楽になるだけじゃありません。教員に時間のゆとりができれば、授業研究にも時間が割けますし、生徒にも目が行き届くようになります。」

財務省:「うーん、それって、国民に対して、具体的にどういう効果が見込めるの? 教員を増やせば、人件費が毎年上積みされるわけで、例えば、生徒の学力が目に見えて向上するとか、いじめの数が目に見えて減るとか、そういう費用に見合った効果が期待できる施策なの?」

文科省:「数字が目に見えて向上するかは…。」

財務省:「じゃあダメだね。だいたいさ、教員が疲弊してるって言うけど、人数の問題じゃなくて、現場のマネジメント不足で働きづらいってことだって考えられるじゃない。そういう議論を抜きに人数だけ増やしても、また同じ問題が出てくるんじゃないの?」

文科省:「・・・。」

と、こんな感じです。
「なんとなくいい感じのする」計画では、予算が通らないわけです。
これは民間だってそうでしょうから、ごく普通の考え方だと思います。

問題は、「教育って分野は非常に効果が見えにくい」

ということですね。

道路や橋やダムを建設するのは、数字でうまく説明して、最終的に効果をお金に換算することができるのですが、教育の効果というのはものすごく説明しにくいです。
一担当者が、「この施策により、PISA(国際的な学習到達度テスト)でOECDトップが見込めます」なんて、言えるわけがないのです。

そんなわけで、冒頭でも言いましたように、今回は文科省が頑張ったなぁ… と思ったのですが、よくニュースを見てみると、どちらかというと政治主導で決まった話のようですね。
その点については、少々残念です。
(理詰めで説明し、納得させてこそ意味があるような気がするので)

今回の決定も、新型コロナなどの環境の変化に起因して政治主導で話が出て、
文科省がかねてから推進しようとした学級少人数化のプランで便乗し、
財務省が難色を示し、
とはいえ、政治主導で始まっているため門前払いというわけにもいかず、
「小学校」に限定すること等を落としどころとした。

みたいな流れなのでしょうかね。

私個人は、教育の重要性を非常に強く感じており、日本はもっと教育分野に予算を割くべきだと思っています。
しかし、先にも言いましたように、予算を管理する側に、「教育の効果は数字やお金に換算しにくい」という特性を理解していただかないと、新たな施策はなかなか通りませんし、施策を立案する側でも、なるべく「結果が見える」ようなプランにする努力が必要です。

今日は、ニュースをネタに、1つの施策を進めるにも、様々なせめぎあいがあるということを語ってみました。

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