先の記事にもありますが、チリ太郎さんが中高一貫校生になって中高生活の半分が過ぎ、そろそろ大学受験が見えてきたという段階にあります。
ここに至って、中高一貫生の勉強ペースはどうあるべきかということを考えます。
大学受験を考えたとき、もちろん目標にもよるのでしょうが、最上位を目指す層の受験対策は基本的に「先取り学習」が推奨されています。
鉄緑会、東進スーパーエリートコース、私が最近動画をよく見ているCASTDICEも先取り推奨です。
私立中高一貫校の場合、学校の授業自体が一般的な公立校に比べて先取りになっているのですが、鉄緑会と東進スーパーエリートコースはそれ以上のペースでの先取りが推奨されています。
例えば、鉄緑会の数学ならば、中3までに数ⅠA・ⅡBを一通り終え、高1で数Ⅲ1周目に入るというようなペースです。まあ、これは東大や国公立医学部を目指したカリキュラムなので、特殊といえば特殊かもしれませんけどね。
私はチリ太郎を鉄緑会に中1の1年だけ通わせていましたが、今思うと私自身の認識が少し甘かったなと思います。
それは、下記の動画でCASTDICEのコバショーさんが断言していることなのですが、
先取り危険!間違った先取りで成績が伸びない生徒の特徴
https://www.youtube.com/watch?v=VHXf1Jd4U_M
「先取り=勉強量を増やす」ことだ
と明確におっしゃっています。
このあたり、頭の良い人というのは短い言葉で本質を突くなと感心します。
私などは漠然と、
「ある程度能力のある子ならスイスイと先に進んで行く方がよいのではないか」
と考えていたところがあります。
しかし、コバショーさんが指摘するように、未修分野を学んで身につけるには「演習」とセットで行う必要があります。
形だけの「先取り」であれば、鉄緑会みたいな塾で講義を聞くとか、そもそも塾に入らなくても、東進の映像授業、スタサプなどでどんどん動画を見ていけば実現できます。
ただ、それを本当の意味での先取り学習にするには、確認問題を解いたり、様々なパターンの問題に当たってみたり、応用問題に手を付けてみたりという工程が必要になります。
これらの工程は、授業をサラッと聞くのと比べるとかなり時間がかかります。
そう、映像授業なら1.5倍速でも進められますが、演習は本人の実力どおりのペースでしか進められませんからね。
鉄緑会が膨大な宿題(塾は週に3時間もあればできると言いますが、それはちょっと現実離れしているかなという量です)を課すのは、ある意味では理論どおり。
それをこなせれば本当の意味での先取り学習になるでしょうし、できなければ形だけの先取りになるということなのですね。
チリ太郎の場合は、鉄緑会の宿題はほとんど手が付けられていなかったので、完全に「形だけの先取り」になってしまっていたと思います。この場合、塾が目指すクオリティでは進めていないわけなので、退塾して正解であったと今では納得しています。
東進スーパーエリートコースでも似た話を耳にしたりしますね。
こちらは映像授業をどんどん見て先に進みましょうというスタイルなので、より自主性に任されている分演習が不足する危険性が大きいと思います。
その結果、ある程度まで進んだところで身についていないことに気づき、中3や高1、悪い場合は高2頃に総復習する羽目になったなんてことが起こり得ます。
要するに、「学問に近道なし」ということを肝に銘ずるべきということなのです。
「先取り」って一見近道のように見えるのです。
しかし、実態としては、本来学ぶべき期間を圧縮しているだけなので、密度が濃くなっていなければ(相応に演習を積むなど、勉強時間を増やして対応しないと)、思っていたような効果が得られないのです。
チリ太郎が鉄緑会をやめるとき、珍しく自分の気持ちをはっきりと口にしました。
「学校の授業が楽しくなくなる」
私、これを聞いて即断しました。
親バカですが、チリ太郎もまた、短い言葉で本質を突くことがよくあります。
私のようにダラダラと語りません。
あの言葉は多分、もっと自分のペースで学び成長していきたいという意思表示だったのでしょうね。
また、チリ太郎の言うように、中途半端な先取りは本来ワクワク、ドキドキを伴って学べるはずのものを、「ああ、どこかで1回聞いたね」という新鮮味の無いものにしてしまう危険性があるということでもあります。
まあそんなわけで、コバショーさんの動画を見て、私の過去の失敗を再び考えなおす機会となりました。
やっぱり、本人が「やるぞ!」という気持ちになってからが受験勉強期間であるべきなのです。
中1の時点でその気持ちがあり、実際に他の生徒以上の努力を厭わないのであれば、先取り学習がその子の進むべき道かもしれません。
しかし、その気持ちが持てていないのであれば、しばらくは学校のペースに任せておくというのが無駄のない方法だと思います。
もちろん、それとて簡単なことではないのですけどね。